脊椎・脊髄病

脊椎・脊髄の重要性

脊椎・脊髄という部位は神経が集中していて、身体の中でも最も重要な部位

「首から両肩にかけての痛み」「腰痛」は非常に多い疾患です。痛みのために「仕事ができない」「家事ができない」「夜が眠れない」など日常生活に支障が出ることも多くみられます。
さらに、脊椎・脊髄病疾患では、上肢や下肢に麻痺があるかどうかが重要です。手・足のしびれや痛み、筋力低下があると脊髄や神経根が圧迫されている可能性があります。上肢であれば、「肩が上がるか」「肘を曲げることができるか」「手の筋肉が萎縮していないか」を診ます。下肢であれば、「足関節が背屈できるかどうか」が重要です。運動麻痺があれば、手術を頭に入れておく必要があります。
肩から上腕にかけての神経痛や、臀部から下肢にかけての坐骨神経痛は、それぞれの神経ブロック注射で痛みを和らげることができます。脊椎疾患でお悩みの方は、ぜひ診察をさせてください。

よくある症状

  • 首の痛み
  • 肩の痛み
  • 指のしびれ
  • 手に力が入らない
  • 腰痛
  • 臀部の痛み・しびれ
  • 下腿の痛み・しびれ
  • 足首が上がらない

脊椎・脊髄疾患の主な症状

腰痛と下肢症状(足のしびれ)

ぎっくり腰と言われる急性腰痛症は、多くの人が経験する一般的な症状です。西洋では「魔女の一撃」ということもあるそうです。
通常の腰痛であれば、腰椎コルセットで固定し鎮痛剤を服用すると、1~2週間で軽減します。 しかし、「動きがとれないほどの激しい痛みがある」「痛みが長引く」「腰痛以外に下肢症状(足の痛み・しびれ感)が出る」などの場合には、特別な病気の可能性があるので注意が必要です。

腰痛と下肢症状の原因となる脊椎・脊髄疾患

  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 脊椎分離症・すべり症
  • 腰部脊柱管狭窄症 など

頸部痛や上肢症状(手のしびれ)

頸部痛や肩甲骨周囲の痛み

肩こりは肩だけが原因ではありません。首から肩甲骨周囲の痛みや肩甲骨内側の痛みは、頸椎が原因となっていることが多いです。
首を後ろに倒したときに痛みが強くなる場合は、頸椎で神経根が圧迫されていると考えられます。

肢症状(手のしびれ)

母指・示指のしびれや、環指・小指のしびれは手関節周囲、肘関節周囲の圧迫でもしびれますが、頸椎からも生じます。
しびれが続くときは、頸椎に異常がないか調べることをお勧めします。 

手足の痛みやしびれの原因となる脊椎・脊髄疾患

  • 頸椎椎間板ヘルニア
  • 頚椎症性神経根症
  • 頚椎症性脊髄症
  • 頸椎後縦靱帯骨化症 など

稀ではあるけれども、頭には絶対に入れておかないといけない疾患

脊椎外科として、治療が遅れると生命予後にかかわる疾患がいくつかあります。それは化膿性脊椎炎と転移性脊椎腫瘍です。
脊椎は細菌感染により、背骨が溶けてくることがあります。背中や腰の疼痛とともに、発熱が続く場合には化膿性脊椎炎という病気があります。原因となる細菌は黄色ブドウ球菌が一番多く、健常人の鼻腔にも20%は常在しています。通常は害が少ない細菌ですが、免疫が落ちたときに広がることがあります。初期の椎体の変化はMRI撮影でわかります。
もう一つ重要な疾患として、転移性脊椎腫瘍があります。男性では「肺がん」「前立腺がん」「胃がん」が多く、女性では「乳がん」「肺がん」「子宮がん」が多いと報告されています。原発巣(最初にがんができたところ)の手術が終わっていても脊椎への転移で再発がわかることもあり、MRI撮影が重要です。

見逃してはいけない脊椎・脊髄疾患

  • 化膿性脊椎腫瘍
  • 転移性脊椎腫瘍 など

痛みをやわらげる「神経ブロック注射」

神経ブロック注射とは麻酔剤を神経の周辺に注入し、痛みを和らげる方法です。神経ブロック注射は鎮痛効果だけではなく、局所の血液循環の改善効果があり、神経の炎症を鎮静化する効果があります。
当院では、首から肩にかけての痛みや臀部からの坐骨神経痛へ神経ブロック注射を行い、痛み止めでは成果が出にくい疼痛の改善を目指します。ブロック注射後に患部を温めながら、15分間安静にしてもらいます。
神経ブロック注射は患部の痛みを和らげるため、可動域訓練やマッサージなどのリハビリを円滑に進められるメリットもあります。

神経ブロック注射が有効な主な疾患について

頸椎症性神経根症

首から肩、手にかけてしびれや痛みが出ます。首を後ろに傾けると、しびれや痛みが強くなります。
頸椎神経根という、神経の根本が圧迫されるために症状が出ます。

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腰部脊柱管狭窄症

臀部から太もも、脛にかけて痛みが出ます。いわゆる坐骨神経痛です。
症状は片側または両側に認められます。10分くらい歩くと、足の痛みが強くなります。また、腰を反らすと症状が強くなります。症状が進行すると、足の筋力低下が出ます。中高年に認められます。
脊髄が通っている脊柱管が狭くなったために神経が圧迫されて、症状が出ます。

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腰椎椎間板ヘルニア

臀部から太もも、脛に痛みが出ます。いわゆる坐骨神経痛です。
症状は片側に認められることが多いです。症状が進行すると、足の筋力低下が出ます。
腰をかがめた時や長距離の車の運転で椎間板が後方に飛び出し、腰の神経根を圧迫します。年齢に関係なく発症します。

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院長からの一言
*問診・既往歴が大切です*

脊椎の疼痛や神経障害の原因は、椎間板ヘルニア・脊柱管の狭窄・神経孔の狭窄・椎体骨折などがあります。稀に、感染・腫瘍の転移など油断できない病気もあります。
これらの疾患の鑑別には、「いつから」「原因となる動作」「発熱や癌の既往歴」などの問診が重要です。私は大学病院で長らく脊椎外科を中心に診療にあたってきた経験があります。ぜひ、お話を聞かせてください。